こどもの近視について

お子さんの近視は、遺伝的要因や環境的要因によって起こることが多いと言われています。放置していると、急速に視力が低下し、高度近視に至ることもあります。これに伴い、白内障や緑内障、網膜剥離、黄斑変性症などの病気が起こりやすくなり、治療が難しくなるケースもあるので、早めに対策を講じるようにしてください。当院では、アトロピン点眼やオルソケラトロジー近視矯正治療を行っています。こうした治療により、小児近視の改善が期待できます。
アトロピン点眼
アトロピンは、近視に有効とされる成分が含まれたお薬です。これが低濃度で配合された点眼薬を使用することにより、副作用のリスクを減らしながら近視症状の進行を軽減させることができます。最近は近視治療に採用する医療機関が増えつつあり、当院でもアトロピン点眼を用いた治療を行っています。なお、この治療は近視の進行を抑制するものであり、近視が全く進行しないわけではないことをご承知おきください。
こどもの近視の進行を抑制する点眼液「リジュセアミニ点眼液0.025%」

2025年4月、子どもの近視進行を抑えるための新しい点眼薬「リジュセアミニ点眼液0.025%」が発売されました。
この点眼薬は、参天製薬とシンガポールの国立眼科研究機関「SERI(シンガポール・アイリサーチ・インスティテュート)」が共同開発した低濃度アトロピン製剤で、近視の進行を抑える効果が期待されています。すでに使用されている「マイオピン」と同じ有効成分(アトロピン0.025%)を含んでおり、新たな選択肢として注目されています。
マイオピンをご使用中の方へ
「マイオピン0.025%点眼薬」は国内での販売が終了予定のため、当院での取り扱いは在庫限りとなります。
※「マイオピン0.01%」は引き続きご利用いただけます。
リジュセア®ミニ点眼液は参天製薬から、近視の進行抑制を目的として発売されました。国内治験を経て有効性が認められた国内で初めての点眼液です。
近視進行抑制は緑内障も含め様々な疾患の発症抑制にもつながりますので当院でも積極的に採用しております。参天製薬HP「子どもの近視ハンドブック」も参照ください。疾患に対する治療ではない為、点眼処方・屈折検査・視力検査は実費(自由診療)になります。当院では検査代として税込み2000円が必要です。リジュセア®点眼液は税込 4000円(30本分/1か月分)となります。
「子どもの近視予防の大切さ」
子どもの近視は、眼球の奥行き(=眼軸長)が通常よりも伸びることで起こることが多くあります。この状態になると、目の中でピントが合う位置がずれてしまい、遠くが見えにくくなります。
特に、近くのものを長時間見る生活習慣(読書やスマートフォンの使用など)が続くと、近視が進みやすいと考えられています。いったん眼軸長が伸びてしまうと、自然に元の状態に戻すのは難しいとされており、そのため近視の進行を抑えるためには、眼軸長の伸びを抑えることが大切とされています。また、進行した近視(強度近視)では、将来的に視力への影響が出る可能性も指摘されています。例えば、視力の回復が難しくなるケースや、黄斑(おうはん)部の変化、網膜のトラブル、眼圧が上がるなどのリスクがあるといわれています。
こうした中で、リジュセアミニ点眼薬は、眼軸長の伸びに関与するとされる「ムスカリン受容体」に作用するといわれており、近視の進行を抑える選択肢のひとつとして注目されています。ただし、治療にあたっては医師の診断・指導を受けたうえで使用することが大切です。
リジュセアミニ点眼液とマイオピンの違い
- 濃度と効果の持続
- リジュセアミニは、アトロピン濃度0.025*を採用。
3年間の治験で、近視の進行抑制効果が持続することが確認されています。 - 使い切りタイプ&防腐剤フリー
- リジュセアミニは、1回ごとに使い切る使い捨てタイプ。
防腐剤を含まないため、長期間使用する場合にも安心感があります。(長期の防腐剤使用は角膜に影響する可能性があるとされています) - 対象年齢と使いやすさ
- リジュセアミニは、5歳から10代後半までの継続使用を想定して設計されています。
参天製薬の技術により、防腐剤なしでも長期保存が可能な点も特長です。
リジュセアミニ点眼液の副作用
リジュセアミニ点眼液は、重い副作用はほとんどないとされていますが、まれに以下のような症状が出ることがあります。
- 点眼後にまぶしく感じる(羞明)
- 手元がぼやけることがある
- 一時的に目がかすむ
- ごく一部の方に目のかゆみ(アレルギー性結膜炎)
これらの症状は、アトロピンの働きによるもので、濃度が低いため軽く、長くは続かないとされています。
日中への影響を避けるためにも、リジュセアミニは就寝前に点眼することが大切です。
国内の治験では、9.0%のお子さまに羞明(まぶしさ)が見られましたが、多くは一時的なものでした。
気になる症状があれば、無理せず医師にご相談ください。
リジュセアミニ点眼液の対象となる人は?
リジュセアミニ点眼液は、近視の進行を抑えることを目的としたお薬で、以下のような方が対象とされています。
- 小児~思春期の近視が進みやすい年齢のお子さま
- 5歳から10代後半までのお子さま。
特に、学校での学習やスマートフォン・タブレットなどの使用時間が長く、近視の進行が気になる場合に使用が検討されます。 - 近視の進行を抑えたいと考えているご家庭
- お子さまの視力低下が進んでおり、将来的な目の病気(強度近視によるリスク)を心配しているご家庭にとって、進行抑制の選択肢のひとつとなります。
- 長期的な使用を前提としたい方
- リジュセアミニは、防腐剤が含まれていない「1回使い切りタイプ」なので、数年間にわたる使用も考慮された設計となっています。
※使用の前に大切なこと
リジュセアミニ点眼液は医療用医薬品です。
使用する際は、必ず眼科医の診察を受け、医師の指導のもとでご使用ください。
リジュセアミニ点眼液の使用方法
使用する前に
点眼前には手をよく洗い、清潔な状態で使用してください。
容器は1回使い切りタイプです。開封後は再使用せず、すぐに廃棄してください。
点眼方法
- 頭を少し後ろに傾けて、上を見ます。
- 片方の手で下まぶたを軽く引き、もう片方の手で容器を持ちます。
- 容器の先がまつ毛や目に触れないように注意しながら、1滴を点眼します。
- 点眼後は、目を軽く閉じて1分ほど目を休めると、お薬がよくなじみます。
- 複数の目薬を使っている場合は、5分以上間隔を空けてから次の点眼を行ってください。
使用後の注意点
- 残った液は使用せず、すぐに捨ててください(使い回し禁止)。
- 保管時は直射日光や高温を避け、なるべく涼しい場所で保管してください。
- 異常を感じた場合(痛み・かゆみ・かすみなど)は、すぐに医師または薬剤師にご相談ください。
リジュセアミニ点眼液の費用
リジュセアミニ点眼液は保険適応ではなく自費診療としての処方となります。
健康保険や医療費助成制度は適応されません。
初回は30本(30日分)の処方になります。
リジュセアミニ 点眼液0.025% 30本(30日分) |
4,000円(税込み) |
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オルソケラトロジー近視矯正治療
オルソケラトロジーは、特殊なコンタクトレンズを装着することにより、近視を矯正させる治療法です。専用のコンタクトレンズを就寝時に装用するだけで、翌朝には視力が矯正され、日中はコンタクトレンズやメガネを使用せずに過ごせます。軽度から中等程度の近視の方、とくに角膜が軟らかい若い方に有効とされています。手術を受ける必要はないので、非常に安全で画期的な近視矯正法です。なお、オルソケラトロジーによる治療を希望される方は、その適応検査を受ける必要があります。
オルソケラトロジー
- 就寝時に特殊な形状のハードコンタクトレンズを装用することで、角膜の形状変化から近視矯正効果を生じさせ、翌朝レンズを外しても一定時間は近視が矯正されている状態が続くため、その間の裸眼視力は改善されます。
- 日中は裸眼で過ごすことができるため、睡眠時間の確保が十分可能である小学生には有効な治療と考えられます。
- 近年では、オルソケラトロジーによる近視の進行抑制効果が、論文等で数多く報告されています。

オルソケラトロジーのメリットとデメリット
メリット
- 日中は眼鏡やコンタクトレンズをつけなくても大丈夫です
- 手術を行う必要はありません
- 途中で治療をやめた場合、2週間程度で元の状態に戻ります
- 角膜の形状に合わせて治療を進めることができます
- 成長期のお子さんの場合、近視の進行抑制効果も示唆されています
- 格闘技や水泳などのスポーツ選手にも対応できます など
デメリット
- 夜間には専用レンズを装着しなければなりません
- 強度近視には対応できません
- 遠視は矯正できません
- 乱視の患者さんの場合、十分な矯正が難しいです
- 自費診療なので、患者さんの負担が高くなります など
当院使用のレンズについて
当院では2012年、夜間装用レンズとして厚生労働省に製造販売の承認をうけた「ブレスオーコレクト®」を使用しています。
ブレスオーコレクト®の特長
日本人に多い角膜(突出のない角膜)に合うように特別にデザインされた、日本人向けのレンズです。東レ株式会社のしなやかで割れにくい「やわらか素材」を使用し、高い酸素透過性と割れにくさを両立したハードコンタクトレンズです。親水性が高く、レンズによごれが付着しにくいことも特長です。

治療スケジュール
オルソケラトロジーレンズを装用はじめる前に、まずはオルソケラトロジー治療が可能であるか検査いたします。
検査結果により装用が可能であれば、オルソケラトロジーレンズの処方をして、定期的に眼とレンズの状態を調べます。
治療の流れ
- 1.初日
- 適応検査オルソケラトロジーレンズの装用に適しているか、近視の度合いや眼の健康状態を調べます。
- 2.トライアル装用【1週間~1か月】トライアルレンズ貸し出し
- 検査結果に問題がなければ、患者様にあったレンズを処方し、ご自宅でトライアルレンズを装用していただきます。
- 3.トライアル後1週間 本レンズ発注
- トライアル後、治療の継続をご希望の場合は眼やレンズの状態を確認の上、レンズを発注いたします。
- 4.レンズ受け取り
- 約1週間後にレンズのお渡しとなります。
※特注レンズや在庫がない場合は2週間前後かかります。
治療を継続している間は、定期検診が必要です。装用開始1週間、2週間、1ヶ月後、3ヶ月後、以降は3ヶ月毎、2年目以降3か月毎、または眼科専門医の指定した定期検査日にご来院いただきます。
治療を継続しない場合は、専用レンズを返却していただく必要があります。治療の継続を希望しても、眼の健康状態などにより治療を続けられない場合もあります。 - 5.約1か月後 【定期健診】
- 6.以降3か月毎 【定期健診】
- 7.2年目以降3か月毎 【定期健診】
費用について
定額プラン(価格はすべて税込みです。)
適応検査
項目 | 金額 |
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適応検査 | 保険診療 |
オルソお試し装用(自由診療)
- 貸し出し用レンズをご返却いただけない場合、保証金の返金は致しかねます。
- レンズに傷・破損がなければレンズ保証代33,000円返金。
- 紛失時には1枚につき別途11,000円お支払いいただきます。
項目 | 金額 | |
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お試し装用代(レンズ保証代金・診療代含む) | レンズ保証金 | 33,000円 診察代 5,500円/回 |
診察代 | 5,500円/回 | |
※別途ケア用品代 | 3,590円 | |
コレクトケア | 1,650円 | |
ジェルケア | 1,100円 | |
眼瀾 | 880円 | |
コレクトクリーン | 1,320円 |
本治療に入らない場合(トライアルレンズの返却)
項目 | 金額 |
---|---|
レンズ保証代金返金 | ▲16,500円 |
診療代 | 5,500円/回 |
- 貸し出し用レンズをご返却いただけない場合、保証金の返金は致しかねます。
- レンズに傷・破損がなければレンズ保証代16,500円返金。
本治療開始(レンズの決定・作成)
項目 | 金額 | |
---|---|---|
治療費(初年度) | 定額制2ヶ月分 | 両眼15,400円 片眼8,800円 |
診療代 初年度8回分 | 44,000円 | |
レンズ保証 代金返金 | ▲33,000円 |
★本レンズ受取日に、ご記入いただいた定額制申込書を封筒に入れ必ずご持参ください。
- 交換保証:左右年2回ずつ
紛失保証:11,000円/枚
3回目以降も11,000円(1年毎に保証復活)
定額制料金(以降3か月目より引き落とし)
項目 | 金額 |
---|---|
両眼 | 7,700円/月 |
片眼 | 4,400円/月 |
定期検査
項目 | 金額 | |
---|---|---|
2年目以降定期検査代 | 年4回分 | 22,000円(現金一括) |
- 目に異常が感じられた場合には、すぐに装用を中止し、眼科を受診してください。
- キャンセルはサービス利用開始30日以内は可能です。
多焦点ソフトコンタクトレンズ
多焦点ソフトコンタクトレンズでも近視抑制効果が報告されています。
近視が強い度数でも装用可能です。
当院では焦点深度拡張型 ソフトコンタクトレンズを導入しています。
サプリメント
クチナシの果実やサフラン等に含まれるクロセチンという成分が近視進行を抑制する効果があること判明しました。そのクロセチンを摂取しやすくしたサプリメントもあります。
ロートクリアビジョンジュニアEX

お子さまの飲みやすさを考えた、小さなソフトカプセルです。
商品名 :ロートクリアビジョンジュニアEX
内容成分:クロセチン(クチナシ色素由来)7.5mg
内容量 :30粒
価格 :3,200円
お召し上がり方
1日1粒を目安に、かまずに水またはぬるま湯などでお召しあがりください。
(過剰に摂取することは避け、1日の目安量を守ってください。)